火の用心の季節に思う熱中症対策との共通点

fire-prevention-banner2 ランダム

防災の為にそれぞれができる事をする大切さ!

早いものでついこの前お正月だと思ったら、もう年末です。

そして、年末恒例の「火のよお~~じん」の声が聞こえる時期となりました。

大変寒い中、地域の自治会であったり、子供会であったり、消防団であったりと、様々な団体様がボランティアで地区を回って頂いて、本当に有り難い事です。

「火の用心」の掛け声に続く言葉も「マッチ一本火事のもと」やら「サンマ焼いても家焼くな」の定番のものから、色々とアレンジされたものもあって、聞いていても楽しいものです。

皆様の地域ではどんなアレンジがされているのでしょう?

careful-of-fire

しかし、「声がうるさい」とかいうクレームも少なからずあるようで、無言で拍子木だけ叩いて回るような地域もあるそうで、少し世知辛い気も致します。

さて、こうして様々な団体様が年末の恒例行事として回って頂ける取り組みは「歳末特別火災警戒」とか「歳末防犯パトロール」とか様々な呼び名があるようですが、どれも火災や犯罪を未然に防ぐ為の一種の啓発活動というか呼びかけは、火災や犯罪を減らしたいという人々の切なる願いなんですね。

悲しいけど、火災も熱中症も発生をゼロにはできない

そして、私が取り組んでいる熱中症の問題でも「熱中症に気を付けましょう!」「WBGT(暑さ指数)の高いときは運動や屋外活動を控えましょう!」といった呼びかけは盛んにおこなわれます。

しかし悲しい事にどんなに啓発をしても、呼びかけても、火災はゼロになるわけではありませんし、熱中症に関しても同じで、どんなに呼びかけても、熱中症の発生はゼロにできないのが現実だと思うと切ない気持ちにもなります。

3-fire-engines

こうして、年末になるたびに「火の用~心!」の声を聞いて、ご苦労様です、ありがとうございます、という気持ちと共に、「あ~、火事も熱中症も同じだな」と思うわけです。

しかし、決定的に違う事があるとすれば、火災は何百年もの間、人々が恐れ、経験を積みながら様々な対応を考え出してきたのに対し、熱中症の本来の恐ろしさは、まだ十分に知れ渡っていないと言うことです。

以前は日射病などと呼ばれていて、近年被害が拡大してきた事から注目が集まりだし、熱中症という言葉が使われだしたのは2000年頃からなので、まだ20年くらいしか経ちません。
火災の歴史から比べたら僅かな年月です。

熱中症は、最初のころはそれほど大きく取り上げられていなかったのですが、地球温暖化の影響で気候変動が起こり、死者数も年々増える一方で、現在のように「熱中症を防ぎましょう!」という啓発が盛んにおこなわれるようになったという事です。

なんと、2023年現在と20年前を比べると熱中症による死者数は20倍にもなっているんです。

初期消火に絶大な威力を発揮するのは消火器

今では火災に対しては、「火の用心」と呼びかけると同時に、万一火災になってしまった場合に備えて消火器を設置したりする事は常識になっています。

small-fire

そして消火器があれば、火の手が小さな内に消火することも、拡大を食い止める事も可能です。

今の熱中症の応急処置は火事にコップで水をかけてるようなもの

しかし、熱中症の場合は「熱中症に注意しましょう」という呼びかけはたくさんしていますが、いざ熱中症になってしまった場合には、消火器で火を消すような有効な手段は準備されていないのが現状なんです。

従来からの多くの情報は、重症の場合は首筋、脇の下、鼠径部を氷で冷やして救急車を呼びましょうという事になっていて、人々はその情報を信じ切っています。

ところが、首・脇・鼠径部の3点の部分冷却は、冷却面積が狭すぎて、重症の熱中症には殆ど役に立たない事が研究で明らかになっています1

これは、火災でいえば家が燃え始めているのに「コップで水をかけて、消防車を待っている」という行為に等しいのです。

火災に備えて消火器を! 熱中症に備えてアイスバスP-PECを!

熱中症でいえば、火災に対する消火器の役割をするのは「アイスバス」での全身冷却です。

学校や地域のスポーツチームでは、オリンピックやプロスポーツの大会などで使われるような「アイスバス」を準備するのは無理ですが、応急処置用のコンパクトアイスバスP-PECなら、大掛かりな準備は要りません。

P-PECは空気を入れたり、組み立てたりするタイプのアイスバスではありません。
P-PECならバッグから出して3秒で展開できますので、AEDのように緊急事態になってから取り出して使えます。

しかも超低水量設計なので、わずかな水で全身を冷却できます。

fire-extinguisher

火災に備えて消火器を準備するのと同様に、熱中症に備えて応急処置用アイスバスP-PECを学校やスポーツチームなどには備えておく事が常識になれば、熱中症になってしまった子供やアスリートの本来助かるべき命が失われてしまう事も減るのでは?と思う、年末なのでした。


  1. 参考文献:NHK 3つのH”に気をつけて!スポーツ中の事故 防ぐには
    新潟大学教育学部准教授 天野達郎氏
    https://www.nhk.or.jp/minplus/0012/topic033.html#section04
      ↩︎